JDDUG meetup #11@福岡 レポート

18 Jul 2025

JDDUG meetup の第11回は、福岡では2回目で2ヶ月ぶりの開催となりました。 猛暑と豪雨にも関わらず参加してくださった方々ありがとうございました!

Datadog

今回は株式会社Fusic様に会場と軽食をご提供いただきました。ありがとうございます!

connpass

発表/LT

今回の発表/LTは計6本です。

発表1. Datadog の AI オブザーバビリティに迫る

LLM を組み込んだアプリケーションにおけるオブザーバビリティみなさんどうしてますか? 入力が多種多様であり、回答が非決定的な LLM アプリケーションの既存とは異なるオブザーバビリティ観点を整理しながら、それらのための Datadog の「LLM Observabiity」という機能について迫っていきます。

さかさい @k6s4i53rx ひとこと:ラーソーメンしか勝たん

発表1

運営コメント

本セッションでは、LLMアプリケーションが持つ特有の課題と、それに対応するための新しいオブザーバビリティの考え方について解説されました。 LLMアプリの運用では、システムの動作状況を監視するだけでなく、その出力の品質をいかに観測し評価するかが重要になるという、次世代のオブザーバビリティの要点が明確に示されました。DatadogがAPMとは別に専用のUI/機能としてLLM Observabilityを提供し、AI処理の粒度でトレースや評価を行えるようにしている点は、この新しい課題領域への深い理解を反映しています。AIを本番運用する上で避けては通れない品質管理というテーマに対し、具体的なソリューションが示された有益なセッションでした。

発表2. AIハッカソンで組織の行動規範の浸透を観測した話

文化。それは触れられぬもの。文化。それは心で感じられるもの。言うならば文化とは、愛なのかもしれない。

ヌーラボでAIハッカソンを実施した際に、組織の行動規範の浸透をDatadogで観測することに挑戦してみました。

株式会社ヌーラボ 二橋 宣友 (@futahashi) ひとこと:ラーメン、ソーメン、ラーソーメン!

発表2

運営コメント

DatadogとAIを活用して、目に見えにくい「組織文化」の浸透度を可視化するという、極めて先進的な取り組みが紹介されました。

オブザーバビリティの概念をシステムやアプリケーションから組織そのものへと拡張した、非常に示唆に富むセッションでした。「文化は仕組みで浸透させる」という考えのもと、その仕組みをテクノロジーで実現する試みは圧巻です。Datadog Dashboardのあらゆるデータを統合して直感的に可視化できるという強みが最大限に活かされており、ツールの新たな可能性を感じさせました。

発表3. AWS Well-Architectedから考えるオブザーバビリティの勘所

みなさんAWSのWell-Architectedはご存知ですか?

AWS Well-Architectedはクラウド上でワークロードを設計および実行するための主要な概念、設計原則、アーキテクチャのベストプラクティスです。AWSでシステムを運用・構築する際にどういった点に気をつけるとよいのか整理されています。

その中のオブザーバビリティに関するプラクティスに着目し、Datadogをどのように活用すると良いのかを探っていきます。

株式会社エス・エム・エス 加我 @TAKA_0411 ひとこと : 福岡最高です

運営コメント

本セッションでは、AWS Well-Architected Frameworkを羅針盤として、体系的かつビジネスに貢献するオブザーバビリティをいかに実装・活用すべきかが解説されました。 技術的な観点だけでなく、なぜモニタリングを行うのかという目的に立ち返り、ビジネス価値から逆算してオブザーバビリティを設計するトップダウンのアプローチが非常に参考になるセッションでした。これからオブザーバビリティを導入する組織や既に活用している組織にとっても、自社の取り組みがビジネス成果と連携できているかを見直す良いきっかけとなる発表でした。

LT1. DatadogのArchived LogsをSnowflakeで高速に検索する方法(Archive Searchでオワコンにならないことを祈って)

LayerXではDatadogのArchive LogsをS3に保管したあと、Snowflakeへ連携し、開発者は古いログの検索をSnowflake上で行っています。このLTでは、Archive LogsをSnowflake上で検索するために、どのようなチューニングを行い、高速化・省リソース化を行ったか話そうと思います。

株式会社LayerX Civitaspo @civitaspo

株式会社LayerX DataOps Tech Lead 兼 SRE。2013年にHadoopエンジニアとしてキャリアをスタート。その後MLOps、SRE、DevOps、セキュリティ領域等のキャリアを経て、2022年から株式会社LayerXにてDataOps / SRE領域のエンジニアとして、データ基盤を含めたプラットフォーム全体の設計・実装を行っています。

運営コメント

ログのアーカイブは多くの企業が取り組むコスト削減策ですが、運用性とのトレードオフが課題になるケースがよくあると思います。本セッションは、その課題に対する強力な解決策を提示しています。特にSnowflakeの機能を活用し、コストを抑えつつも運用性を確保した事例は、同様の課題を抱える多くの組織にとって、非常に価値のある知見だと思います。

LT2. Datadog導入を検討し始めた話

自社SaaSの運用が拡大する中で、障害発生時の原因特定に時間がかかることがあります。“なんとなく動いてる”から、”ちゃんと見える”に変えていきたいと思い、Datadogの導入を検討しています。今回は導入前の立場から、課題と期待を共有します。

株式会社botto 宮田 大輔

LT2

運営コメント

Datadogの導入をまさに検討している段階の、リアルな課題感と期待が語られました。 サービスが成長する過程で誰もが直面するであろうペインが的確に言語化されており、多くの参加者が共感したと思います。オブザーバビリティの価値をエンジニアリング領域に限定せず、ビジネス全体に広げようとする視野の広さも印象的でした。

LT3. RUMで可視化するユーザ操作

歯科医院向けシステムがどのように歯科医療従事者に使われているのかを例に、RUMのHeatmapを使ったユーザ操作の可視化事例を紹介します。

株式会社DentaLight エンジニア 佐古健太郎

LT3

運営コメント

Datadog RUMを単なるパフォーマンス監視ツールとしてではなく、ユーザーの行動を可視化しUI/UX改善に繋げるための強力な武器として活用している事例が紹介されました。 RUMの価値を再認識させられるセッションでした。バックエンドのAPIメトリクスだけでは決して分からない「ユーザーの実際の挙動」をデータとして捉えることで、プロダクト開発における仮説検証の精度を格段に向上させることができます。エンジニア、デザイナー、プロダクトマネージャー間の共通言語としてRUMのデータを活用するスタイルは、すべてのSaaS開発組織にとっての理想形の一つだと感じました。

終わりに

今回お集まりいただいた参加者、発表者の皆様、Datadog の皆様、そして遠方から参加&登壇していただいた皆さま、ありがとうございます!

JDDUG#11@福岡は、オブザーバビリティの基本原則から、AIのオブザーバビリティ、コスト最適化、UX改善、さらには組織文化の醸成まで、Datadogがいかに多様な課題解決に貢献できるかを示す素晴らしいイベントとなりました。特に、複数のセッションで「オブザーバビリティの価値をエンジニアリングの外へ広げる」という共通のテーマが見られた点は、今後のトレンドを示唆しているように感じられます。初学者から熟練者まで、すべての参加者が新たな学びと刺激を得られるイベントとなりました。

今後も福岡での開催を計画しています。皆さまのご参加をお待ちしております!